最新!疲労・ストレス講座 3

第3話解説

 第3話は、いかがでしたでしょうか? 一般的に、科学の世界では、客観的に測定することはとても重要です。「疲労なんか感じることができるから、測定する必要なんか無いんじゃない?」と考える方もおられると思います。ところが、そうではありません。疲労という感覚を疲労感といいますが、疲労感はとても曖昧な感覚です。皆さんも、楽しいことをしている時は疲労を感じなかったり、逆に嫌なことだと、大した仕事もしていないのに疲労を感じたり、という経験をされていると思います。このため、疲労の研究や、疲労に関係する健康管理を、疲労感に頼って行うことはとても危険なことで、疲労の客観的測定法の開発はどうしても必要だったのです。

 ところが、国家プロジェクトとしてスタートした疲労研究でも、疲労の客観的測定法の開発は困難をきわめました。マンガの中にもある様に、もともと測定できそうにもない、脳の感覚を測定しようとするのですから、難しいのは当然です。

 我々は、これを克服するために、体の中に潜伏しているヘルペスウイルスを利用する方法を発明しました。様々な疲労の測定にこの方法を使用してみたところ、この方法は、第1話で解説した仕事や運動の疲労(生理的疲労)を特異的に測定できる性質を持っていることがわかりました。「最新! 疲労・ストレス講座」の中にも、これから何度も登場して、疲労研究や疲労に関する健康管理に役立ってくれますので、お楽しみに。

 ちなみに、どうしてヘルペスウイルスで疲労が測定できるのか、もう少し詳しく知りたい方は、第4話「疲労とヘルペスウイルス(研究編)」で解説しますので、そちらを御覧下さい。第4話は、研究編ですので、研究に興味のない方は、飛ばして読んで頂いても何ら問題ありません。

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