最新!疲労・ストレス講座 6

第6話解説

 6話では、生理的疲労が起こるメカニズムについて解説しました。eIF2αなどという聞き慣れない物質が出てきて面食らった、という方も多いのではないかと思います。この物質は、シグナル伝達分子という体の細胞の機能を調節する物質で、細胞にいろいろなストレスがかかると反応することが判っていた物質です。「なんだ、もとから判っていたのか?」とお思いの方もおられるかと思いますが、ストレスに反応する物質は体の中に何百とあるので、この中から疲労の原因となる物質を選び出すのが大変だったわけです。

 我々は、ヒトヘルペスウイルス6 (HHV-6)が疲労によって再活性化するという現象の研究から、疲労の原因となる一連のタンパク質(疲労因子)を絞り込み、この中からeIF2αが疲労の原因であることをつきとめました。研究の進展の様子は、第7話「生理的疲労と病的疲労の発生メカニズムの違い(研究編)」、第8話「HHV-6が疲労を感じる仕組み(研究編)」、第9話「疲労発生のメカニズム(研究編)」で詳しく説明したいと思います。今回のお話は、我々が以前発表していた、疲労因子(FF)と疲労回復因子(FR)のお話の進化形ですので、FF・FRとの矛盾はありません。FF・FRを御存じの方はご安心下さい。

 さらに、第10話と第11話では、疲労回復の仕組みを解説する予定です。こちらは、疲労回復因子(FR)の発展形です。疲労が起こる仕組みと疲労回復の仕組みは、一対となっているので、両方のお話を読んでいただくと、今回の第6話でおぼろげに見えてきた疲労のメカニズムが、よりしっくりと理解していただけるのではないかと考えています。

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