第16話解説
16話では、15話の「ヒトに潜伏感染しているウイルスはヒトの役に立つこともある」というお話をさらに発展させた仮説を紹介しました。この仮説のヒントとなったのは、サピエンス全史(ユヴァル・ノア・ハラリ著)という本です。この本では、我々ホモ・サピエンスは、約7万年前に「認知革命」と呼ばれる認識に関する変化を生じ、急に大きな集団を作ったり、宗教や文化を発展させたりすることで、世界を支配して行ったことが描かれています。
ただ、この本の中では、「認知革命」が生じた原因やメカニズムについては、あまりはっきりとしたことは書かれていません。そこで私は、15話で説明したSITH-1の性質が、この「認知革命」のメカニズムではないかと考えたわけです。認知革命が生じた時期にHHV-6の感染が広がり、SITH-1を持つホモ・サピエンスが文明を発展させていったと考えると、夢が広がります。